特定口座年間取引報告書と年間支払通知書について
確定申告を行う場合、証券会社から発行される「特定口座年間取引報告書」や「年間支払通知書」を準備する必要がある。今回は「特定口座年間取引報告書」と「年間支払通知書」の違いについての解説。
報告書(通知書)に記載される取引
- 特定口座内での国内株式、投資信託(MMF、外貨建てMMF)、米国株式、中国株式、アセアン株式、国内債券、外国債券の売却(償還)
- 国内株式の配当金のうち、証券口座で受領したもの(株式数比例配分方式)
- 海外株式の配当金
- 投資信託の分配金
- 国内債券および外国債券の利子(利金)
- 投資信託の分配金(特別分配金を除く)
上記の取引が、「特定口座年間取引報告書」に記載されるか、「年間支払通知書」に記載されるかは、特定口座の源泉徴収の有無などで変わる。
年間取引報告書に記載されない、対象外の取引
特定口座開設の有無に関らず、以下については報告書には記載されない。
- 一般口座扱いの株式等の売却
- 国内市場に上場する海外株式の配当金
日本国内に上場する外国株式や外国株式扱いの国内上場ETFの配当金や分配金は、証券口座の出金先銀行口座に直接振り込まれるため、「支払通知書」「年間取引報告書」のいずれにも記載されないので注意。
特定口座(源泉徴収あり)の特定口座年間取引報告書
特定口座内で株式等の売却や配当金等の受取がある場合に特定口座年間取引報告書が発行され、年間支払通知書は発行されない。
記載内容は以下の取引全て。
- 特定口座内での国内株式、投資信託(MMF、外貨建てMMF)、米国株式、中国株式、アセアン株式、国内債券、外国債券の売却(償還)
- 国内株式の配当金のうち、証券口座で受領したもの(株式数比例配分方式)
- 海外株式の配当金
- 投資信託の分配金
- 国内債券および外国債券の利子(利金)
- 投資信託の分配金(特別分配金を除く)
特定口座(源泉徴収あり)の場合は、一般口座で購入した銘柄でも配当・分配金・利子は特定口座で払われ、同じ特定口座内に譲渡損失があれば、損益通算され、年間取引報告書にその内容が記載される。
ただし、国内株式の配当金は、配当金受取方法が株式数比例配分方式の場合のみ記載。
特定口座(源泉徴収なし)の特定口座年間取引報告書と年間支払通知書
特定口座内での株式等の売却のみが特定口座年間取引報告書に記載され、配当・分配金・利子は年間支払通知書に記載される。ただし、国内株式の配当金は、配当金受取方法が株式数比例配分方式の場合のみ記載。
証券口座内で上場株式等の配当金等と譲渡損失を損益通算は行われない。
特定口座(源泉徴収なし)では、一般口座で購入した銘柄の配当・分配金・利子は一般口座で払われ、支払通知書に記載されます。また、特定口座との損益通算はされないが源泉徴収はされる。
資本剰余金による配当金
資本剰余金による配当金については支払通知書に記載されない。
資本剰余配当金は、税務上配当所得ではなく譲渡所に分類され、株主が保有する株式の一部を譲渡したものとみなされるため。
源泉徴収あり・なし共通、配当金受取方法が株式数比例配分方式の以外の場合
特定口座の源泉徴収の有無に関係なく、国内株式の配当金受取方法を「登録配当金受領口座方式」または「配当金領収証方式」と選択している場合、国内株式配当金の明細は、年間取引報告書・支払通知書には記載されない。
信託銀行から支払通知書が発行されるので、確定申告の際はそれを利用する。
交付時期
特定口座年間取引報告書と年間支払通知書の交付日が異なる証券会社もある。
楽天証券、令和3年(2021年)の電子交付日。
- 特定口座年間取引報告書:2022年1月13日(木)
- 年間支払通知書:2022年1月20日(木)
私は、確定申告の準備が早すぎて年間支払通知書の存在に数年間気がついていませんでした。。。
年間支払通知書が交付されない場合は?
年間支払通知書が発行されるはずなのに、見つけられなくて困ったことがあります。
理由はダウンロード(電子交付)の場所が特殊だから。
報告書や通知書は一月中旬の交付で、さらに年間支払通知書の方が年間取引報告書より後の交付にも関わらず、ダウンロードサイトでは上記のような配置(1/4付交付資料より古い順番)です。
見つけられない場合は、ちょっと下までスクロールしてみると良いです。
確定申告時の添付
2019年から確定申告に「特定口座年間取引報告書」「支払通知書」の添付は不要。
ただし、外国税額控除の適用を希望する場合などは添付が必要。電子交付の場合は、PDFファイルを印刷し添付する。
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